最後から二番目の真実

主にミステリの感想

天啓の宴

天啓の宴 (創元推理文庫 M か 2-5)天啓の宴 (創元推理文庫 M か 2-5)
(2007/07)
笠井 潔

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その作者が何を書こうとも現れる主題があることがある。
笠井潔にとってはそれは「革命」であり「観念による批判」である。
処女作の「バイバイ、エンジェル」にも明確に現れているし、本作でも同様である。

また、本作は竹本健司の「ウロボロスの偽書」の不徹底さに対する反発として書かれた、というのが前面に出るべき主題だがやはり、革命とその批判が前に現れている。ウロボロスに代表されるメタフィクション、メタミステリと比べると成功をしてはいるが「熱さ」が圧倒的に足りない。ウロボロスの持つ酩酊感や眩暈が本作には欠けている。

一方で小説論、文学論としては異常なまでに熱い。小説を使って小説を語る、という点では傑作と思わせるだけのテンション、熱意が存在するのだ。そのためにメタフィクションをとったと思われるほどだ。実際、ここまでメタフィクションのもつ特性、効果を上手く小説論に活用している例はないのではないだろうか?