最後から二番目の真実

主にミステリの感想

「古泉迦十オタが非オタの彼女に古泉迦十世界を軽く紹介するための10冊」をやってみたい

http://anond.hatelabo.jp/20080724233233#tb
吹いた。

非常に面白そうなのでやってみよう。元増田の人、すみませんネタ拝借します

(前置き略)

火蛾

まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「古泉以前」を濃縮しきっていて、「古泉以後」を決定づけたという点では

外せないんだよなあ。長さも202ページだし。

ただ、ここでオタトーク全開にしてしまうと、彼女との関係が崩れるかも。

この情報過多な作品について、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に

伝えられるかということは、オタ側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。

火蛾、火蛾

アレって典型的な「オタクが考える一般人に受け入れられなさそうなミステリ(そうオタクが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられる)」そのもの

という意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには

一番よさそうな素材なんじゃないのかな。

「ミスオタとしてはこの二つは“イスラム教を知る本”としていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。

火蛾

ある種の薀蓄ミステリオタが持ってる薀蓄への憧憬と、チベットで出家してると噂の作者監修のオタ的な考証へのこだわりを

彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにも古泉迦十

「ミステリ的なださカッコよさ」を体現するファリード

「薀蓄的に好みな師」を体現する導師

の二人をはじめとして、オタ好きのするキャラを世界にちりばめているのが、紹介してみたい理由。

火蛾

たぶんこれを見た彼女は「京極夏彦だよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。

この系譜の作品がその後続いていないこと、これが日本では大人気になったこと、

アメリカなら色々話題になって、それが日本に輸入されてもおかしくはなさそうなのに、

日本国内でこういうのがつくられたこと、なんかを非オタ彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。

火蛾

「やっぱりミステリは子供のためのものだよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「少年探偵団」

でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、この作品にかける古泉の思いが好きだから。

断腸の思いで削りに削ってそれでも202ページ、っていう尺が、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、

その「捨てる」ということへの諦めきれなさがいかにもオタ的だなあと思えてしまうから。

火蛾の長さを俺自身は冗長とは思わないし、もう削れないだろうとは思うけれど、一方でこれが

笠井や京極だったらきっちり1040ページにしてしまうだろうとも思う。

なのに、各所に頭下げて迷惑かけて202ページで作ってしまう、というあたり、どうしても

「自分の物語を形作ってきたものが捨てられないオタク」としては、たとえ古泉がそういうキャラでなかったとしても、

親近感を禁じ得ない。作品自体の高評価と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。

火蛾(著者:古泉迦十

今の若年層で火蛾読んだことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。

火蛾よりも前の段階で、迦十の哲学とか小説技法とかはこの作品で頂点に達していたとも言えて、

こういうクオリティの作品がメフィスト賞でこの時代に出版されていたんだよ、というのは、

別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなくメフィスト好きとしては不思議に誇らしいし、

いわゆる迷走してるメフィスト賞しかメフィストを知らない彼女には見せてあげたいなと思う。

火蛾

古泉の「目」あるいは「話づくり」をオタとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。

「終わらない輪廻をずっと続けていく」的な感覚がオタには共通してあるのかなということを感じていて、

だからこそ講談社ノベルス版『火蛾』は火蛾以外ではあり得なかったとも思う。

「自己目的化した修行を生きる」というオタの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「オタクの気分」の

源は火蛾にあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、

単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。

火蛾

これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。

こういうイスラム小説風味のミステリをこういうかたちで小説化して、それが非オタに受け入れられるか

意味不明さを誘発するか、というのを見てみたい。

火蛾

9本まではあっさり決まったんだけど10本目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的に火蛾を選んだ。

火蛾から始まって火蛾で終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、森、京極以降のミステリ時代の徒花と

なった作品でもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい作品がありそうな気もする。

というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10本目はこんなのどうよ、というのがあったら

教えてください。