最後から二番目の真実

主にミステリの感想

見習い女探偵

見習い女探偵 (ハヤカワ・ミステリ 1393)

見習い女探偵 (ハヤカワ・ミステリ 1393)

アンナ・リーにとっては、調査事務所に入って初めての、仕事らしい仕事だった。子供の家出や香水売場の警備ではない本格的な調査。男性の先輩達と肩を並べるための第一歩である。アンナは張り切っていた。たとえそれが娘の交通事故死に不審を唱える両親に手を焼いた警察が回してきた調査だとしても。そして所長のブライアリーが結論はわかりきっているとばかりに新米の彼女に押しつけた"ささいな"事件だったとしても……

1980年に出版された物で、今から見ると中々懐かしさを感じる事物が多い。携帯電話がない、フィルム映画を手動でコピーする、等々。


主人公のアンナは外国ミステリに良くいるタフでちょっとセンチメンタルでバイタリティ溢れるかっこいい女性で読んでいて気持ちいい。夫婦の娘、ディーの死の原因を探る中で多くの人と出会っていくのだがどのキャラも非常に印象に残っている。ディーと仲の良かったサイモンや奥さんにおびえるレン、丁寧な描写を生かした話作りは面白く、引きつけられる。


元は絵画などの芸術畑の著者らしく芸術関連の書き込みは少々辛辣に見えるほどきちんと書き込まれている。もちろん芸術に興味のない読者が置いて行かれないように抑えていますが。


ストーリーは映画に興味を持ち、事故死したと思われたディーの両親が死の真相を知りたいとアンナの事務所に相談するところから始まります。そこからアンナの調査によってディーが些か強引とも思える方法で人脈作りをしようとしていたこと、女優としてはうまくいっておらず映画制作の方に興味を移していたことがわかってきます。その途中映画の違法コピーが問題の中心になっていきます。


個人的に気になったのがこの違法コピー問題。なにせ四半世紀も前の話ですが現代でも問題になりそうな要素を含んでいます。(詰まるところ価格の高い作品を買えない人々が違法品に手を出してしまうという問題)


上記のように違法コピーの問題が面白く、丁寧な筆致、魅力的な人々ととてもレベルの高い作品でした