最後から二番目の真実

主にミステリの感想

黄昏たゆたい美術館 柄刀一

黄昏たゆたい美術館

黄昏たゆたい美術館


絵画修復師の御倉瞬介が絵画と関連のある事件を解いていく短編集。すでに第1作があるのかな?シリーズ途中のような気がします

『神殺しのファン・エイク』
 時代の寵児であった映像作家が投身自殺を行った。彼と生活していたコミニュケーション能力の低い山野綾が言う「神々を殺した凶器」とは何かが、キーの短編。柄刀氏らしい硬いけれども情を感じさせる内容。キーとなる「神々を殺した凶器」から真相まで辿りつくのは読者には不可能ですが、真相が見せるある種の美しさと同時にそれを見せたことによるショックの対比が胸にきました。
 なぜ、山野は巨大な壁画を書き始めたのか、彼が見せた抽象画の意味合い、これらの要素が私には芸術の山稜を登っている山野と被って見えて言葉にはできない切なさのようなものを感じました。

絵画が小さく白黒でしか載っていなかったので大きな絵で見られる所を探してみるとありました
ヤン・ファン・エイク アルノルフィニ夫妻の肖像

ユトリロの、死衣と産衣』
 妊娠二十ヶ月の婦人と天才芸術家であり実業家でもある夫、その跡継ぎとして修行するも父親には認められない息子。彼ら三人の張り詰めた糸のような生活に御倉瞬介が立ち会うことになる。先程から更に落ち込んでいくような短編。三者のそれぞれの歪んだ関係が作品の雰囲気を冬の石造りのパリのように沈黙させています。話の肝となる妊娠二十ヶ月というウブメの夏を連想させるネタを現実的にうまく処理されているところはどうなんでしょう? これは余り意表をつくものではなく、むしろもう一つのネタ、湯飲みに入れた粉末のほうを評価したくなってきます。この2編目で瞬介親子の成長も描いていくつもりである事にようやく気づきました

http://minazuki-branch.cocolog-nifty.com/review/2007/06/post_9da8.html
こちらの方が肝になってましたが
http://www.salvastyle.com/menu_impressionism/monet_figurel.html

一旦ここまででアップ