最後から二番目の真実

主にミステリの感想

黄昏たゆたい美術館 柄刀一 の続き

昨日(http://d.hatena.ne.jp/pucci2486/20081122/1227358579)の続きです

『幻の棲む絵巻』
 三十年前、稀代の名女優が殺された。その直前犯人らしき気配を感じた盲目の少女が今は尼となっていた。彼女のところを訪れた三十年前犯人として獄死した男の孫娘が殺された。そこに絡んでくる「凌・延喜加持の巻」。 この短編では視点をがらりと変えて中だるみを回避していることで新鮮味を感じました。今までとはまた違う感傷的な話に絵巻物は良くあっています。ネタとしては非現実というか首をひねらざるを得ないものなのですが、ソコを上手くクリアーするために「幻」を使っています。この幻を不自然なものにしないためにもこの話は幻想的なものにしているんでしょう。これまでで一番好きな話です


近畿の古刹巡り 2008年3月16〜18日 朝護孫子寺


『「ひまわり」の黄色い囁き』
 ゴッホゴーギャン、二人の共同生活と関連があるとされる絵画が発見された。そのことに気づいた科学者は三人にメールを送ると次の日の朝自殺した。科学者の妹を慈しんでいた兄はその死に不審を覚えるも…… 今回は殆ど圭介は出てこず、科学者の妹とイラストレーターの兄との関係とゴッホとテオとの関係が重ねられ、その関係性に話の重心が傾けられています。瞬介もデウス・エクス・マキナとして話に幕を下ろす存在としてのみその存在感を表しています。トリックもまた、ゴッホの自殺との関連に重心がおかれ、少々現実味の薄い方へと触れているのが残念です。その分、この短編集の特徴でもあるのですが、幻想と詩情が強く感じられます。柄刀氏と言えば物理トリックと幻想の融合が得意な作家さんだと思うのですが、その得意分野をハッキリと見せてくれる短編だと思います



また、今日はここまで