最後から二番目の真実

主にミステリの感想

雲上都市の大冒険 -山口芳宏 読みおわり、こういうの好きだわ

雲上都市の大冒険

雲上都市の大冒険


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いや、本当にこんな話は好きです。冒険で本格でバカミスでちょっと人情話でしかもカラッとした文体で。

 戦後の混乱期を抜けた東北の鉱山都市、そこで二十年前に脱獄を予告した男がいた。彼は予告どおり脱獄し、彼を閉じ込めた男は殺される。そこに黒白二人の探偵が登場して冒険、殺人、恋。てんこ盛りの展開の最後には新人なのに大胆すぎる宣言。

脱獄トリックがきっついネタなのはいいとしても、あれこれ濃淡が極端なのが気にはなります。意外に細かく描写されるところがあると思ったら、さらりと描写が流されているところもあり、新人らしい未熟さが感じられます。一方で島田氏が言うように新人なのに最後にはシリーズ化宣言。まぁ遊びっ気があるのか、不遜なのか分からないですがこういう意気ってのは買いたくなります。

お話の組み立て方、リアリティよりも雰囲気作り優先なのも悪くないし、是非次回作を読みたいです。


選評も載っていますがこちらも面白い。笠井潔島田荘司、山田正紀の三人が口をそろえて「今年は低調だ、不作だ」といいながらいざ最終に残った三作の評価に移ると、「去年、今年と最終に残る作品を書いたことは評価できる」「〜だが悪くない」と褒め言葉がどんどん出てくる。なんとも口が悪く、辛口なのに楽しく評価しているところが想像できて、微笑ましいです。