最後から二番目の真実

主にミステリの感想

トリックなのか小説なのか、千街氏の怒りは妥当なのか

ミステリが読みたい!2009年版 -ミステリマガジン編集部編 (いわゆる早ミス)Get!!! - 最後から二番目の真実の続き

こういったベスト本だと普通はランキングが注目されますが、けっこうコラムを楽しみにされている方も多いと思います。自分もそうです。

インタビューに海外ミステリ(英米以外の)の紹介、これからミステリを読んでみようという人への紹介やら結構読める、面白いコラムが多いのは早ミスのアイデンティティになっていくかもという程です。



その中でちょっと注目したくなるのは千街晶之氏の「逆風の中の秀作群」です。ここでは逢坂剛日本推理作家協会を取り上げ「……本格系作家への侮辱だろう」と怒りを露にしています。個人的には千街氏に賛成したいのですが、かといって逢坂氏の言い分も分かります。言い方が悪いとは思いますが。実際柄刀氏、三津田氏ともに可読性の高い作風とはいえないですし。かといってお二人が「ただ、たとえトリックを一つ考えるだけの、わずかなエネルギーでもいいから、キャラクターの造型や、リアリティの補強に回してくれたらと、つい恨みごとが出てしまう」とまで言われるほど酷いとは思いませんが。

おそらく逢坂氏の言うとおり配分なんでしょうが、かといってここには読者側の問題も忘れてはいけないでしょう。翻訳ものの可読性は一般に高いとは言えませんがここで「翻訳家はもっと可読性に力を割け」という言説は見ないことからも、「読者側が何を重視して呼んでいるか」がキーになると思います。

つまり、ミステリといっても「トリック、まずはトリック」という人や「最低限リアリティ、可読性がないと」という人がいてそれぞれがそれぞれに「私のミステリ観」を持っているということ。そして商業出版としてより多くの人に読んでもらうには、これらを考えに入れて書く必要があるという当たり前のことがやっぱり重要だということなんだと思います。その上でリーダビリティってのを考える必要があるんじゃないでしょうか?

つまり自分は何を言ってるんだろう?