最後から二番目の真実

主にミステリの感想

今更メフィスト9月号 -笠井潔と小森健太朗対談

メフィスト 2008年 09月号 [雑誌]

メフィスト 2008年 09月号 [雑誌]


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いまさらながらメフィストの2008年9月号を購入しました。目的は「『青銅の悲劇』と21世紀探偵小説の可能性 -小森健太朗」。『青銅の悲劇』は今までの笠井作品とは違う手触りのあるものだったのですが、その違和感について何か分かるんじゃないかと思ったのです。


対談内容のまとめ

・時代を1989年にした理由
 -昭和の終わり、ベルリンの壁崩壊、宮崎事件といった現代への転換点であると考えるから
 -ナディアはこのとき33歳。今シリーズでは探偵役を務めることになる
・青銅の悲劇から続く悲劇三部作はクイーンの悲劇三部作に下敷きにしている(ドルリー・レーンの悲劇シリーズは4作あることは意図的に外しているっぽい。→最後の悲劇は矢吹シリーズ総決算にとってある?)
・白銀の悲劇は宮崎事件、黄金の悲劇は社会主義の崩壊と二十世紀の終わりを背景とする予定
・舞台を頼拓を舞台にしているのはクイーンの後期作であるライツヴィルものと対応するものにする予定だから
・吹雪の山荘のナディアはパラレルワールドのナディア。悲劇のナディアが本流
・悲劇シリーズで「二十一世紀の探偵小説はいかに可能なのか」に挑戦したい
・青銅の悲劇のお猪口に関する徹底した議論は「今までの3つくらい検討すればよい」という風潮への反発?
・悲劇シリーズは「探偵小説のもつ論理小説の部分を正面突破したい」
・後期クイーン問題を正面突破しないと二一世紀の探偵小説の可能性は拓けない
・宗像冬樹が探偵小説を書けるようになるのか、その教養的遍歴もかねている
・脱格系作家の台頭は「探偵小説がセカイ系に出会った」とも捉えられる
・上の世代では日下三蔵氏のようにミステリ・SF通でアニメオタクでもある人がいる→今のオタクとの間に断絶がある?

短いながら興味深い内容です。かなりのテーマを悲劇三部作には詰め込むようです。