最後から二番目の真実

主にミステリの感想

探偵小説は「セカイ」と遭遇した -笠井潔 Ⅰ部読了

探偵小説は「セカイ」と遭遇した

探偵小説は「セカイ」と遭遇した

Ⅰ部「脱格系とセカイ系

 ここでは脱格系とセカイ系について書かれている。前半部は脱格系作品について、後半でセカイ系作品について、最後は空の境界の解説で締められている。


 自分が感じている西尾維新佐藤友哉に対する違和感をある程度上手く説明しているのではと思う。以前書いたように脱格系作品を新しい潮流と捉えるか、拡散への潮流と考えるか、その差はあるにしろ何かしら新たな潮流であるという点では自分も笠井氏の論に賛成する。そこには時代のうねりの様なもの、新世紀を生きる若者の閉塞感を感じる。


 一方でセカイ系に関する評論では繰り返し語られてきた「セカイ系は個人の問題とセカイの問題が直結し、中間にあるはずの社会が見えない」という言説に対して、曖昧ながらも社会がセカイ系の代表作とされるもの(イリヤの空、UFOの夏最終兵器彼女)にもあること、それらが圧迫的な悪意を背負っていることを指摘したのは面白いと感じた。セカイ系が社会を意識的に外したものなら社会的な存在は一切出てこないはずなのに実際は存在している、しかもそれがセカイと自分達を繋ぐ黒子になっているというのはあまり他に見なかったので新鮮だ。 しかしイリヤとilyaを繋げるのは無理がある。中身はいいと思うけども