最後から二番目の真実

主にミステリの感想

パズル崩壊 -法月綸太郎

パズル崩壊 WHODUNIT SURVIVAL 1992-95 (集英社文庫)

パズル崩壊 WHODUNIT SURVIVAL 1992-95 (集英社文庫)

「重ねて二つ」

ホテルの一室にいたのは稀代の映画監督とその妻の上半身、そして男の下半身。

思いついた小ネタを元にしたという印象。小手先の演出、演出のための演出、といった言葉が作中で交わされるものの自分への皮肉と言った意味合いが見え隠れする。どうにも出来が良いとは言えない。


「懐中電灯」

強盗を企んだ男は共犯者をも殺害した。一年後彼は別の盗みで捕まるのだが……

懐中電灯をめぐる小さな引っ掛けが上手く利いている。視点を犯人に持っていくことで謎を効果的に見せ、犯人の小さなミスを際立たせている。問題点は一年間同じ懐中電灯を使ったことぐらいだろうか、自分が犯人なら念のために処分するだろうが……

「黒のマリア」

深夜の警視庁、葛城警部は書類仕事に精を出していた。そこに起きる突然の停電。すぐに明かりは戻ったがそこにいたのは真っ黒な服を着た女性だった。彼女は画商殺人事件に不服があるようだが

必死に呪いによる事件と主張する女性と現実的な説明をしていく警部。淡々とした筆致のせいで余計に不思議な面白さが増している。3つの棺とはよく言ったもので警部の解決は非常にスマートで分かりやすく面白い。一方で偶然性の強さには女性の言うとおり呪いの仕業とも考えたくなる。