最後から二番目の真実

主にミステリの感想

掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南 -輪渡颯介

掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南 (講談社ノベルス)

掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南 (講談社ノベルス)


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城下の掘割で若い女の幽霊を見たという普請方の男が、まもなく病で死んだ。女の姿を見た者は必ず死ぬという噂が囁かれる折、お家騒動が持ち上がり家老が闇討ちされた。怖がりで純情な甚十郎と酒と怪談を愛する浪人・平松左門が、闇に溶け込んだ真実を暴く痛快時代活劇!第38回メフィスト賞受賞作。

メフィスト賞受賞作ですが特に奇を衒っていない気楽に読める佳作。がっちりと時代考証にこだわった作品というよりは、気楽に時代物の雰囲気を味を楽しめる作品でした。

城下町での武士達の会話や生活スタイルがどこか現代的であったり、終盤のチャンバラシーンがやはりどこか時代劇的であったりとちょっと自分の期待していた「こだわりの時代物」のイメージとは違いました。とはいえダメなのではなく、現代的な、時代劇的な要素は現代人である私達でも楽しめるようになっています。

トリック部分は非常にシンプルで特に真新しいものはありません。それよりも、「幽霊」や「お化け」というものを江戸時代の風俗に合わせて解釈していくスタイルこそが新しいのです。組み合わせや生かし方に新しさを感じます。

ここのところ、メフィスト賞があまり奇を衒わずにミステリの常道のような物を受賞させているのはちょっと嬉しいですね。