最後から二番目の真実

主にミステリの感想

連殺魔方陣 -柄刀一

連殺魔方陣 (ノン・ノベル)

連殺魔方陣 (ノン・ノベル)

シリーズ最大の怪事件!この犯行は神の意志なのだ???"神秘の配列"に導かれた殺人者!
<魔方陣の館>で起こる連続毒殺の謎


九星気学を受け継ぐ旧家であり、企業グループ"KISON"を率いる亀村家の晩餐会で、幹部吾妻忠一が毒殺された。それは、郵送されていた予告状の実現に他ならなかった。投毒可能な調理人と給仕担当のメイドに容疑がかかるも捜査は難航、同席していた天地龍之介が犯人捜しに乗り出した。だが関係者は一癖ある人物揃い。しかも様々な愛憎が渦巻き…。殺人犯は誰か? 館が不安に包まれる中、第二の予告状と毒殺事件が! 龍之介の頭脳は殺人の連鎖を止められるのか!?


<著者のことば>
数字の魔方陣、目次にも登場する文字による魔方陣、他にはどのような魔方陣が存在するだろうか。数字の魔方陣だけに限ってみても、その多彩な奥深さは底が知れず、気が遠くなる。その先に見えるものは、果たして……。

これはシリーズ随一の傑作じゃないか!
序盤から中盤にかけて「魔方陣」の趣向が少々物足りないかな、と思ったけれども終盤の解決での魔方陣ラッシュは面白いぞ!!


とはいえ「青銅の悲劇」でも感じたのだがやっぱり、毒殺は地味だ。毒殺事件のキモは「いつ、どこに毒を仕込んだのか」になる訳だけれども、これをキチンと立証しようとなると途端に地味になってしまう。毒を仕込むタイミングなんてそれこそ幾らでも考えることが出来てしまう。偶然見付からなかった事まで入れるとそれこそ可能性の列挙だけで超長編が出来てしまう。


そこは作者の腕前で魅力的に読ませてほしいのだけども、どうしても地味な絵面になってしまう。基本机の前であーだこーだ言い合う事態を避けることは難しい。


しかし、今作は地味な絵面になってしまうことは避けられていないのだが、解決での怒涛の魔方陣開陳と同時に地味な「毒殺」というファクターを上手く魔方陣に組み込んで非常に興味深いモノに仕立てあげている。


毒殺の持つ「直接手を下さずに予め罠として仕込んでおける」特性を上手く使った作品になっている。


また、青酸カリの中和剤を警察に用意させようとしたり、胃洗浄を試みるなど龍之介の天才性を上手く見せることにも成功している。


作品に登場した多くの魔方陣も面白く、ひさしぶりに読んだ後のごはんがおいしかった。素晴らしい!

なお作中に出てきたデューラーの「メランコリア」は以下のページで見ることが出来る。
デューラー 「メランコリア�T」