最後から二番目の真実

主にミステリの感想

繭の夏 -佐々木俊介

繭の夏 (創元推理文庫)

繭の夏 (創元推理文庫)


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八年前に自殺した従姉が住んでいたアパートに越した姉弟が、天井裏で古びた人形を見つけた。人形が秘めていた告発とも読めるメッセージを追って過去への旅を始めた姉弟は、関係者の証言を集めるうちに、自殺とされていた二つの死に「犯罪」の証跡を見出す。第六回鮎川哲也賞佳作となった〈スリーピング・マーダー〉テーマの本格ミステリ。 amazonより引用

「模造殺人事件」で久々に復活した佐々木氏のデビュー長編。余り作例のない「スリーピング・マーダー」もので青春小説でもある、中々無い稀有な佳作。

スリーピング・マーダーというのは「殺人事件が起きたことすら気づかれていなかった、あるいは殺人事件が風化し忘れ去られた頃に再び掘り起こしあるいは気づき真相を探していく」作品のことで代表的な作品はクリスティの「スリーピング・マーダー」になるのかな?


活発な姉とおとなしい弟がなんやかんやと真相を捜し求めていき少しづつ明らかになっていく事件やラスト、いやな感じに終わりそうな事件を爽やかにしてくれる二人は本当に良く出来ている。

青春時代とその後の社会的な挫折などを知り変化していった事件の関係者は「青春の苦さ」を体現し、事件を掘り下げていく姉弟は「青春のまぶしさ」を見せてくれる。万華鏡のようにくるくると姿を変えながら青春のすばらしさ、人生の熱を伝えてくれる本作は本当に良く出来ている。