最後から二番目の真実

主にミステリの感想

もろこし銀侠伝 -秋梨惟喬

もろこし銀侠伝 (ミステリ・フロンティア)

もろこし銀侠伝 (ミステリ・フロンティア)

食べ物飲み物に至るまで刺客に警戒怠りなかった李小遊が、猛毒にあたって死んだ。唯一毒味をしなかった薬のせいに違いないと、薬屋を営む蒲半仙は囚われの身となってしまう。娘の公英が悲嘆に暮れていると、客の雲游がやってきて「心配するな。無実を証明すればいいのだ」と力づける。かくして九歳の少女と不思議な力を持つ老人の探偵行が始まった。第三回ミステリーズ!新人賞受賞作「殺三狼」など、『水滸伝』時代の中国を舞台に軽快な筆致で描くミステリ連作集。(amazoneより引用)


「殺三狼」、「北斗南斗」、「雷公撃」、「悪銭滅身」の四編からなる中短編集。最後の「悪銭滅身」が143ページの中篇になっています。


「殺三狼」
ミステリーズ!新人賞受賞作。中国武侠小説の淡白ながらも軽快なリズムを刻む作風にミステリーのツイストの効いたオチが融合した良作。殺三狼の言い伝えを上手く生かして毒殺トリックに結び付けています。


「北斗南斗」
今度は開かれた密室を題材にとっていますが、先に結末を書いておくことでひねりの効いた味わいになっています。「殺三狼」同様トリック自体は小物ながらも雰囲気に合わせた使い方が言葉遣いと相まって非常に可読性が高い。面白い。


「雷公撃」
今度は密室殺人。先ほどの「北斗南斗」同様密室を題材にしていますがどちらも登場人物は密室という言葉を言わない辺り作品の雰囲気への気配りが出来ています。今回はちょいとネタ的には期待はずれ。


「悪銭滅身」
本作で最もミステリーらしい色合いの作品。主人公燕青があちこちに聞き込みをしながら謎の同士抱壺に相談していく典型的なプロット。それを武侠小説の型にあわせている辺り本当に上手い。ポイントになる「不思議な形状をした凶器」「なぜか殺されない主人公」を一直線で結んだところにはやられました。


非常に満足