最後から二番目の真実

主にミステリの感想

北東の大地、逃亡の西 -スコット・ウォルバン 七搦理美子訳

北東の大地、逃亡の西 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1806)

北東の大地、逃亡の西 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1806)

【負け犬たちの遠吠えが荒野にこだまする】メイン州を転々とし、最後はヴァーモント州の伐採場に仕事を見つけたおれは、毎日チェーンソーを手に木と闘っていた。八月のある日、その伐採場の土のリングで二人の男が対峙する。ヒスパニックのエル・レイは間もなくプロデビューを予定する賭けボクサー、そして対するトムは腕っ節自慢の酔っ払い。荒くれたちがなけなしの金を賭けるなか、試合が始まる……そこがどんな場所でも、男たちは生き続ける。人生をしくじり、罪を犯し、麻薬にとらわれ、自分自身を裏切ったあげくに逃げ込んだ、その場所で。アメリカの片隅の男たちを描く傑作短篇集(amazonより引用)

一言でいうなら男臭い、けれども哀しみや詩情、そういった日本では余り見かけなくなった美しさを感じる短編集。


アメリカの田舎で麻薬をやりながら、アルコールに溺れながら、時には本人にはどうしようもなく起きる出来事、これらを寡黙な筆致で描き出す様はさながら白黒無声映画。自分を変えられず、他人に迎合できず、しかし自分がなすべきことやりたいことを行い続ける姿に哀切を感じずにはいられない。


ミステリというには謎が無さ過ぎますがハードで乾いた世界がとても面白い。
これは良かった