最後から二番目の真実

主にミステリの感想

白夫人の幻 -ロバート・ファンヒューリック 和爾桃子訳

白夫人の幻 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1789)

白夫人の幻 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1789)

端午の節句を祝う藩陽の町で行なわれた龍船競争。河岸を埋めた大観衆の目前、先頭争いを演じていた艇で一人の選手が頓死した。自然死かに見えたが、死体の検分で毒殺だと判明した。現場に居合わせたディー判事は調査を開始し、内偵のために夜の巷へ出向く。すると今度は郊外の廃屋で若い女性が惨殺される現場に行き合わせた。しかも二つの事件には思わぬ関連があった……かつて宮廷から消え失せた皇帝の真珠、そして若い男を生贄に要求し民衆に畏怖されていた河神。ふたつの伝説に彩られた怪奇色満点の事件に、判事の合理精神は打ちかてるか?(amazonより引用)

これもまた「真珠の首飾り」同様、中国武侠小説の趣に西洋的な合理精神を併せた良作。今回はさしものディー判事も困惑する奇妙に合理と狂気が混じった事件は読者から見てもどこか散発的でバラバラな印象を持ちます。


しかし、ラストで劇的(文字通りに「劇」的)な犯人の名指しとその筋の通った見通しの良い真相が明かされ、驚愕。程ほどに怪奇的な伝説の要素を残しつつの結末には結構感動モノでした。


ところで、この作品、「花窗玻璃 シャガールの黙示」の作中作同様に(おそらくは)意図的にカタカナ言葉を使用していません。そのためか古の東洋世界にすんなり入っていけるのかな?と思います。


いや本当に良かったよ。