最後から二番目の真実

主にミステリの感想

北雪の釘 -ロバート・ファン・ヒューリック 和爾桃子訳

北雪の釘 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1793)

北雪の釘 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1793)

北方の国境近く、北州に知事として赴任したディー判事。以来数カ月というもの平穏な日々が続いていた。ところが、町で無残な女性の首なし死体が見つかったことから、判事の周辺はにわかに風雲急を告げる。いずこへともなく姿を消した被害者の夫を名指して糾弾する家族。だが被害者の衣服が消えていることに判事は首をひねる。あるいは土地の名士の娘が数日前から失踪した件とも関係があるのかもしれない。事件の目鼻もつかぬうちに、高名な武道家が浴場で何者かに毒殺される事件も起きた。そして判事はかつてない窮地に追いこまれることに…。(amazonより引用)

今回はディー判事シリーズ初期作の掉尾を飾るということで、今までにない劇的な展開が目白押しでした。


トリックは中々なもの。案外こういう殺害方法は気づかれない気がします。なんせ古代?中国だもの。いくつもの事件が並列におきるため、トリックの数だけでも結構なもの、その上それぞれに出来が良いので満足です

最後に知事職を辞す覚悟だった判事に中央での官職が与えられるときは皮肉な感覚がしたものでした。マーロンやチャオタイ、タオガン達が喜びながらもどこか哀しく飲みに出かけるシーンが印象的です。時は移ろい、何事にも裏表がある、というのが本作のテーマとなっているようですが、そのテーマはしっかり読者に伝わってきます。


シリーズ一番の良作。