最後から二番目の真実

主にミステリの感想

痾 -麻耶雄嵩

痾 (講談社ノベルス)

痾 (講談社ノベルス)

大破局(カタストロフィ)のショックで部分的記憶喪失に陥った如月烏有(きさらぎうゆう)は、寺社に繰り返し放火して回復を企る。だが焼け跡には必ず他殺死体が発見され、「次は何処に火をつけるつもりかい?」との脅迫状が舞い込む。誰が烏有を翻弄しているのか? 烏有に絡む銘探偵メルカトル鮎の真の狙いは? ミステリに遊戯(ゆげ)する若き鬼才の精華!(amazonより引用)

もう慣れたのだ、もう慣れたのだ。
烏有に訪れる不条理な出来事の数々。自分にとって(夏と冬の奏鳴曲の事件によって)もはやアイデンティティを揺すられることすらできない状態で再びカタストロフィが訪れる。麻耶雄高はどこまでも麻耶雄高なのだと思わせる作品。

烏有は他からも平安を奪われ、また自らも平安に身を置けないように置けないように動いていく。そこに生じるリズムがリーダビリティを高める結果になっているのは麻耶氏にとって良いことなのか、悪いことなのか。烏有はどこまでも烏有な人生を送っていくことを定められているんでしょう。安静な人生は彼にはない

怪作も怪作。