最後から二番目の真実

主にミステリの感想

鬼蟻村マジック -二階堂黎人

鬼蟻村マジック (ミステリー・リーグ)

鬼蟻村マジック (ミステリー・リーグ)

――「鬼」は突然現れ、刀を振り上げて斬りつけ、そして衆人環視のなか、消失!
旧家に相次ぐ不可解な謎と連続死。家の「新たな継承者」が現れたときに、すべての均衡は崩れ、惨禍が訪れた!
七十年前の鬼の呪いなのか……。(amazonより引用)

二階堂黎人の持ち味は次のように考えていた

1.横溝正史のような因習深い状況を描ける
2.上記の状況でも「軽い」文章を書ける
3.強引なくらいの大胆なトリックと伏線の配置

しかし今回は
1は余りに意味がない、長野県を舞台にして鬼蟻村の設定を考えるだけで終わってしまっている。酒蔵の設定は意味があったのだろうか?

2は1によって生まれる重い雰囲気を軽くする役割を負うはずが、今回は上手く因習ある田舎を描けなかったので空回りしてしまっている。水乃サトルのもつ雰囲気と合わせて横溝的世界観を軽く現代的にするはずが。

今回頼みになる3の大胆トリックは作者のレベル的に「捨てトリック」レベルなのが残念。できればこの後に真のトリックが浮かんでくると面白くなったろうと思うけども、残念。

しかも今回ハッキリ言って「名探偵の失敗」の演出に失敗している。おそらくは「名探偵の失敗」を描くことで名探偵の絶対性を揺らし、名探偵の人間らしさを生み出そう、「機械仕掛けの神」でない「名探偵」を作ろうという意図ではないかと思うのだけども、これはぜんぜん上手くいってなくて、ただの「名探偵の読み違い」にしか読み取れない。作中、竹美から指摘されるように「そんな失敗があったとしても問題ない」というような失敗なのでもう、ハテナが浮かぶだけで、なぜ失敗を入れる必要があったのかと思うばかり。


表紙のできはいいのになぁ