最後から二番目の真実

主にミステリの感想

五声のリチェルカーレ -深水黎一郎

五声のリチェルカーレ (創元推理文庫)

五声のリチェルカーレ (創元推理文庫)

昆虫好きの、おとなしい少年による殺人。その少年は、なぜか動機だけは黙して語らない。家裁調査官の森本が接見から得たのは「生きていたから殺した」という謎の言葉だった。無差別殺人の告白なのか、それとも―。少年の回想と森本の調査に秘められた“真相”は、最後まで誰にも見破れない。技巧を尽くした表題作に、短編「シンリガクの実験」を併録した、文庫オリジナル作品。(amazonより引用)

中編「五声のリチェルカーレ」と短編「シンリガクの実験」の二編が収録された作品。どちらも書き下ろしになっている

表題作「五声のリチェルカーレ」は中々の一品。なぜ、誰を殺したのかがテーマらしいが、今回はイマイチ「トリックのためのトリック」な感じ。別に少年自身はトリックを仕掛けていないのだが、読者が感じる驚きが「まぁそりゃぁこんなことなら驚くわなぁ」といった仕様が無いから驚く、といった形になるのが残念。

今回の肝の「なぜ殺したか」は「誰を殺したか」に気がつけば(作中の不自然なところをつなげると必然的に「誰を」がわかる)同時にわかってしまうので興ざめなのかなぁ。

逆に言うといろんなミステリ要素がきちんとつながっているので理不尽な気持ちにはならないけど、どうにも余技的なこんなものも書けるよといった感じで乗り切れなかったなぁ。と、書いていて気がついたけど、今回は4時間で読みきれたんだけど、これは深水作品では最短記録。量の問題もあるけどここまで一気読みできたって事は大分文章力も上がってるんだろうね。

この作品そのものよりもこの後の作品に期待したくなるような作品