最後から二番目の真実

主にミステリの感想

ステラの遺産 -バーバラ・ヴァイン 富永和子訳

ステラの遺産 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

ステラの遺産 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

ジェネヴィーヴは、老人ホーム「ミドルトン・ホール」のケア・アシスタント。彼女の受けもちのひとり、ステラは癌で余命いくばくもない老女である。ある日、ステラ宛てに彼女名義の家の権利書が届く。ステラはその家の存在を子供にまでひた隠しにしていたのだが、その理由を話すため、ジェネヴィーヴだけに自分の過去をうち明けるようになる。結婚に満足できなかったこと、不倫をしていたことなどなど。そしてその話は必ず秘密の家に収斂していく。その家でいったい何があったのか?ジェネヴィーヴは、やがて恐ろしい疑念に捕らわれていく…。(amazonより引用)

いってしまえば何のことはないラブストーリー。過去のステラとアランの愛と現在のジェネヴィーヴとネッドの愛、この二つが二重写しとなって話を進め、その一方で過去のステラとアランの間に何が起きたのか、二人は人を殺したのでは、というサスペンスがスパイスとなっていておもしろい。


読み終わって振り返ればなんてことはないとわかる一方で読んでいる最中はこれがなかなかスリリング。ステラが何をジェネヴィーヴに伝えたいのか、なぜ家を売らずに残していたのか、丁寧な筆致と細かく移り変わる心情が優しく伝わってくる。

出てくる人物の誰もに血が通い、不自然なく行動しているのは日本人作家にも参考にしてもらいたいくらい。最後にジェネヴィーヴがさわやかに変化していくのはほほえましく、幸せな気持ちになった。


良作