最後から二番目の真実

主にミステリの感想

死闘館 我が血を嗣ぐもの -伯方雪日

仕事や恋愛に行き詰まりを感じ、ニュージーランドへと旅立った刑事・城島。かつて事件捜査で出会った格闘家のガトロ・スチュードたちとともに、ガトロの祖父で一族の長テ・ケレオパの邸宅へ向かうことになった。その人里離れた山奥に佇む日本家屋には格闘家一族が呼集されており、テは彼らに対し、最も強いものにすべての権力と財を譲ると告げる。具体的なことをなにも知らされず、一族が困惑する中、嵐と火山噴火によって屋敷が孤立したのと同時に、一族の男の扼殺死体が発見された。はからずも日本から遠く離れた異国で捜査をすることになった城島。しかし第二の殺人が勃発し…。予想外の展開の末に待ち受ける、驚天動地の真相とは?気鋭が満を持して放つ、たくらみに満ちた傑作本格ミステリ。(amazonより引用)

最強とは何か?格闘小説や格闘漫画ならともかく、ミステリでこのテーマを取り上げ、なおかつ一つの結論とその結論をミステリに結びつけることができた。それだけでこの作品には価値がある。

負けないことが最強か?敵がいないこと?どんな状況でも勝てば良いのか?武器を使うのは?
考えればきりがないテーマを持ちながら、一方でミステリらしい「嵐の孤島」テーマを用いた緊張感のある展開。真相がテーマをあぶり出しながら、テの過去と絡んで物語として素晴らしい結末だといえる。

敵がいなくなるまで強くなること、敵のない状況で弱くなっていき絶滅したモア、この2つの対比は面白い。

ただミステリとしてトリックはそれほどではないし、ニュージーランドに日本建築が建てられた理由もあまり本当らしさがあるようには感じない。

ただ、本格(この場合謎と解決をメインとした、という意味で)ではなくミステリとして大きく成長してくれる作家だと思う。

なにより格闘とミステリの融合、こいつは面白い題材だと思う。