最後から二番目の真実

主にミステリの感想

二度のお別れ -黒川博行

四月一日午前十一時半、三協銀行新大阪支店に強盗が侵入。四百万円を奪い、客の一人をピストルで撃った後、彼を人質にして逃走した。大阪府警捜査一課は即刻捜査を開始するが、強奪金額に不服な犯人は人質の身代金として一億円を要求、かくして犯人と捜査陣の知恵比べが始まる。トリッキーかつ軽妙な会話が魅力の“大阪府警捜査一課”連作第一弾、著者の記念すべきデビュー作。(amazonより引用)

時が経っても残っている物は良い物だ、と世は言うけどもこれは真実だと思う。この作品もデビュー作らしい、未熟でプロットは強引で登場人物は書き割りのように平坦だ。けれどもそれでも、デビュー作らしい野心と情熱と熱さを感じ取ることができる。

誘拐を軸に如何に「真実」を隠すかを、ここまできれいに隠しきった作品はそうはない。だからこの作品はその「真実」を明かすときにこれほど不自然な手を取るしかなかったのだろう。

真実の明かし方の不自然さが完成度を損ねているが、それに至るまでの誘拐の進め方や警察の動きはダイナミックで読む手が止まらない。先が全く読めないジェットコースターのような展開が面白い。本当に素晴らしい。このプロットを作る努力と熱が読者の私にも伝わってきた。

だからこそ不自然さが面白い。