最後から二番目の真実

主にミステリの感想

天命龍綺 大陸の魔宮殿 -獅子宮敏彦

大陸の強大な王朝に侵略される小さな島国・朱論。巫女の宝樹は、幼馴染みの夏座丸たちと辛くも脱出するが、漂着した先は、皇帝の座を巡る陰謀渦巻く大陸の都だった。激動の運命に翻弄される彼らを待ち受けていたのは、“龍”が棲むといわれる宮城での不可解な事件。城内では、忽然と人が消え、動く筈のない彫刻の龍が天罰を下す。事件の謎に迫るとき、伝説の“龍”の真実が明らかに。歴史ミステリの気鋭が描く壮麗な謎。(amazonより引用)

獅子宮敏彦といえば豪快なトリックを使うために、そのトリックが使えるような世界を創造する作家、そんなイメージを持っていた。その世界がエセ中国だったり、イスラムだったり、ちょっとエログロな所があるのもトリックを使いたいがためなんだろうな、と思っていた。

そんなイメージの作家がジュヴナイル的な世界を作って少年少女の成長と奇妙な冒険を描いたわけだから、正直戸惑った。トリックのありきの世界ではなく、成長のための世界を作ったからトリックそのものの破壊力は今までのモノとはちょっと違う。今回の「龍のトリック」は主人公達が成長するための装置、なのかと思う。

人殺しのためのトリックではなく、人を救うためにトリックを使う(終盤のあのトリックの事ね)、そういった方向へ獅子宮氏が変化したのはその事そのものが面白いし、大がかりなトリックの楽しさもある。

とはいえ、これはシリーズの第一章に過ぎないわけでこれからが楽しみ。