最後から二番目の真実

主にミステリの感想

眠り姫とバンパイア -我孫子武丸

母とふたり暮らしの小学5年生・相原優希は、居眠りばかりしてしまうので、子供の頃から「眠り姫」と呼ばれていた。居眠り癖もあり学校になじめない優希を心配した母はお姉さん代わりの家庭教師をつけていたが、大好きだった美沙先生はアメリカへ留学することに。その代わりの新しい家庭教師・荻野歩実に、優希は大切な秘密を打ち明ける。その秘密とは、父親が3年ぶりに会いに来てくれた、というものだった。母とふたりで暮らしている理由を知らなかった歩実は、前任の美沙に事情を聞いてみるのだが…。父は本当に戻ってきたのか?家族に秘められた謎とは。(amazonより引用)

我孫子武丸久しぶりの作品は(一応)子供向けのミステリーランド。これが結構子供に読ませたくなる爽やかさと(新)本格っぽい雰囲気は素晴らしい。「かまいたちの夜」も他のシリーズも結構子供に読ませたくなるほのぼのさが有るので意外でもないかな、とあとで思ったり。「殺戮に至る病」みたいなやつの方が少数派だしね。

バンパイアの性質、眠り姫、こういった要素が現実に解体されていくのは寂しさがあるものだけど、この作品からは逆に「現実はこんなにも幻想的なんだよ」と、空想に生きる少年少女を励ますような優しさを感じる。幻想的な世界は小説の中だけでなく、現実にも同じように(かどうかは分からないけど)ある、そんな事が自分には感じられた。小説家のイマジネーションはこんな形でも発露されるものなんだね。

素晴らしかった。