最後から二番目の真実

主にミステリの感想

バミューダ海域の摩天楼 -柄刀一

機密装置を載せた空軍輸送機が消息を絶った。場所は名だたる遭難多発地帯「バミューダ・トライアングル」。アメリカ情報保安局の要請を受け、ウェルズリー工科大学のDrショーインこと13歳の松蔭博士が現場に向かう。現地観測レーダーに映るのはドラゴン…!?明晰な頭脳で自ら開発した最新機器を駆使し、少年博士が怪事件の真相に迫る。本格ミステリーの真髄。(amazonより引用)

柄刀氏らしい科学ネタと怪奇幻想、それに年若い天才探偵の活躍が楽しい一冊。ま、正直な所このネタは龍之介シリーズでやれば良いんじゃないかと思いつつ、それも作品の面白さには関係ないことなので無視しようとするけどもやっぱり登場人物の違和感はぬぐいきれなかった。

バミューダ海域のドラゴン……ドラゴンのように見える雲があることに驚き、バミューダ海域に頭を持つドラゴンの仮説は楽しい。ショーインのデビューとしては申し分のない幻想的な出始め、謎を深める中盤、怒濤の解決。新本格の楽しみがこれでもかと詰まった短編。

・熱波の摩天楼……南米を舞台に疫病・ピラミッド・人工衛星の三題噺で展開する短編。終盤近くまで静かに謎をため、最後に一気に展開させる話は好き嫌いが分かれそう。意外に現実的な解釈が訪れず、奇怪な予想で締めるのは興味深い。パンドラの箱を絡めて長編に出来そうなネタ。

柄刀らしさがあふれた短編集。満足。