読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

最後から二番目の真実

主にミステリの感想

大阪圭吉探偵小説選 -大阪圭吉

大阪 圭吉
1912(明45)年、愛知県生まれ。本名・鈴木福太郎。別名・大坂圭吉、岬潮太郎。日本大学商業学校・夜間部卒業。32(昭7)年、「デパートの絞刑吏」を『新青年』に発表してデビュー。36年に第1著書『死の快走船』をまとめた。42年、上京し、日本文学報国会・総務部会計課長勤務。43年に応召し、45年、ルソン島で病歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(amazonより引用)

大阪圭吉といえば「とむらい機関車」。しかし戦時下でこんな探偵小説(防諜小説)を書いていたとは、自分の知識の浅さに恥じいるばかり。

この短編集に出てくるのは戦前戦中の不穏な時代の作品達。そのため、ぶっちゃけどの短編も「こんな不思議な事件は外国のスパイによって起こされていた!だからみなさん注意しましょう」というもので読む前から落ちが見えている。

しかしこれらの作品を戦時下の表現を規制された状況で書かれたものだから、別段評価するほどのモノでもない、と判断されるのは止めていただきたい。これらの作品には確かに「謎」と「論理的な解決」がアクロバティックに表現されている。はっきり言えば面白い!!

なぜこういった作品がイマイチ評価されていないのかは巻末に収録されている解説に譲るとして、私たちのような戦後生まれの人間が読むと改めて当時のおかしさを実感できる。小説の中にまで政府の宣伝を入れ込まなければならない時代性(作者が望む、望まないに関わらず)、更に親切のフリをした相互監視など今思うと、本当に当時の窮屈さが見える。しかし、探偵小説はどこまでも書けるモノだと示しているこの短編集は、そういった意味で価値あるモノじゃなかろうか。どんな状態でも面白い探偵小説は書けるんだ、と。

いや満足した。