最後から二番目の真実

主にミステリの感想

メルカトルかく語りき -麻耶雄嵩

ある高校で殺人事件が発生。被害者は物理教師、硬質ガラスで頭部を5度強打され、死因は脳挫傷だった。現場は鍵がかかったままの密室状態の理科室で、容疑者とされた生徒はなんと20人!銘探偵メルカトルが導き出した意外すぎる犯人とは―「答えのない絵本」他、全5編収録。麻耶ワールド全開の問題作。(amazonより引用)

去年は「貴族探偵」に「隻眼の少女」としっかり仕事をした麻耶雄嵩の最新作。というか今までの刊行ペース的に今年は新刊を出さないと思っていました。良い意味で予想外です。

作品の内容的には全て「**が特定出来ない(しない)」ものなので、評価は正直難しい。とはいえ作者自ら「メルカトルは無謬です」と保証がなされたので今回の解答たちは全てその通りなのだろう。目的のためなら死者を起こそうが、シュレーディンガーの猫を殺そうがかまわないのがメルカトル鮎なのだから、今回の結末への持ってきかたも問題なし。

いや、面白い。真面目に各短編のあれが特定出来ない理由への感想を書くと
・死人を起こす……まぁしようがない。犯人の特定ロジックも足下から崩されれば、ロジックそのものが生きていてもねぇ。

・九州旅行……やっぱり見抜かれていた美袋の魂胆。今回は犯行方法が分かってもどうしようもないよね。

・収束……これまた犯行方法が分かってもねぇ。特定のためのロジックは生きているから「死人を起こす」+「九州旅行」って感じか。

・答えのない絵本……おいおい。メルカトルが無謬だと保証されるのはこの短編のためなんだろうなぁ。作者の言葉がなければ誰かが検証し始めるところだわ。とはいえ無謬だと保証されたからにはこの通りなのだろう。

・密室荘……メルが無謬だというならばあの人が、そうだと言うことに。恐ろしや恐ろしや

ほんと面白い。