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最後から二番目の真実

主にミステリの感想

メグレと殺人者たち -ジョルジュ・シムノン 長島良三訳

メグレ警視のところに、見知らぬ男から電話がかかってくる。数人の男からつけ狙われ、生命が危いと告げ、助けを要請する。メグレは男の告げた場所に刑事を派遣するが、彼はすでに立ち去ったあとであった。深夜、電話の主とおぼしき男の死体がコンコルド広場で発見される…。死体の見許割出しから犯人逮捕まで、推理とサスペンスをリアルな筆致で描く最高傑作。(amazonより引用)

初メグレ。出だしの「追われる男からの電話」が非常に引き込まれる。メグレは論理的でなく無根拠に男の言葉を信じるのだが、その一足飛びに自らの直感を信じる辺りにフランスらしい人間くささが感じられる。

展開を追っていくと多くの追跡劇や証拠集めや解析に奔走する警察の姿が描かれていく。リアルな推理小説というと、自分の場合警察内部の不正がどうとか社会の歪みがどうとか、大上段に構えて語られるようなテーマを思ってしまうが、改めて考えるまでもなく地道に操作する姿そのものがリアルな推理小説であるのだと気づいた。

フランスの推理小説は心情描写や男女の機微に焦点を当てた作品が多いイメージだが、この作品もやはり心理描写に重きを置き、人が生きている空間を上手く描いている。メグレの人情味のある態度やおいしそうにビールや料理を飲食する姿に好感と共感を覚える。

名作と呼ばれる理由が分かる。