最後から二番目の真実

主にミステリの感想

蒼志馬博士の不可思議な犯罪 -山口芳宏

今にして思えば、私・殿島の事務所の隣に住む綾子が姿を消したことが、事件の発端だった。姿を消す前に、米軍接収地でトラブルに巻き込まれていた彼女。同時期、米軍には蒼志馬博士を名乗る人物からの脅迫状が届いていた―。博士が開発したという驚異の殺人兵器の謎に、眉目秀麗な探偵・荒城、義手探偵・真野原が挑む。奇想天外な舞台設定と、抜群のリーダビリティで贈る連作集。(amazonより引用)

つまるところ、私は作者・山口氏を勘違いしていたと言うことだろう。デビュー作の「雲上都市」、続いて「豪華客船エリス号」と立て続けに健気な美人が亡くなって、そういう物だと勘違いしてしまった。寅さんのような物なのかと思っていたのだ。

ただ、今回の「蒼志馬博士」を読んでようやく気づいた。早い話が山口氏は作中人物に恋人を作らせる気がないのだと。そうでないと、今回のラストで唐突に語り手・殿島の前から消えていく美人の動機が分からない。あそこまでお膳立てしといて突っ込まない殿島もすごいが、あっさり身を引いて旅立っていく綾子もすごい。漫画的にもありえんだろう。

あ、ミステリとしてみると良い感じの荒唐無稽さがストーリーの処理の適当さを隠していて個人的に好きですが、気になる人は多いだろうなぁ。博士の犯行動機とやっていることに差がありすぎて、どう考えても目的が達成できないからなぁ。

いや好きですよ。本当。