最後から二番目の真実

主にミステリの感想

十三回忌 -小島正樹

宇津城家当主、恒蔵の妻が不審死を遂げた。しかし警察はこれを自殺として捜査を打ち切ってしまう。それが不可解な連続殺人事件の始まりになった。
その一周忌には円錐形のモニュメントに真上から突き刺さった死体、三回忌には木に括りつけられさらに首を切られた死体、七回忌には滝に打たれ唇だけ切り取られた死体……と続いていく。犠牲者はいずれも恒蔵の愛人の娘たちだった。
そして十三回忌を迎える。厳戒態勢のなか、やはり事件は起こった。
復讐の神が奇跡を起こす。

今年度最大級のどんでん返しがあなたを待つ!
島田荘司氏激賛!
「いま、若武者は解き放たれた!」(amazonより引用)

物語的な面白さはない、登場人物の生き生きとした描写はない、現実を切り取りながら読者に考えさせる要素もない。それでも新本格が面白いのは「とてつもないトリック」と「意表を突くロジック」があるから。そんな浅はかな考えを持っていた自分が大きく変わったのはやはり島田荘司作品にであったから。

というわけで、島田荘司推薦という言葉は非常に大きい。個人的に氷川透霧舎巧も好きなんだけど、この作者小島正樹氏の作風は正直微妙。

島田荘司的な大がかりなトリック、意外なロジック、幻想的な描写どれも揃っているのだけど、出来上がるのは常識的な作品、というのは辛い。地に足がついている事件だけに、幻想もトリックもロジックも常識的な意外性しかない。

田作品ではたとえば「眩暈」では世紀末的な世界を作り上げたけども、小島作品では「死者の生き返り」が作り出される。「死者の生き返り」そのものは幻想的で面白いけども、今回は気が狂っている女性が壁越しに聞き取るという状況だけに、あまり幻想性はない。

多くのトリックが惜しげもなく使われているが、結局の所幻想的すぎないためにイマイチ微妙。

残念。