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最後から二番目の真実

主にミステリの感想

螺鈿の四季 -ロバート・ファン・ヒューリック 和爾桃子訳

初任地での激務に疲れたディー判事は、都出張の帰途おしのびで風光明媚の地、威炳の町に滞在する。副官のチャオタイだけを同行させ、ゆっくりと骨休めをしようという魂胆だ。しかし神の探偵に休息はなかった。挨拶のため現地の知事を訪問すると、なにやらその挙動があやしい。どうやら家庭内に問題を抱えているようだ。屋敷内に飾られた漆塗りの屏風が原因らしいのだが……そのうえ、町では無頼漢に間違われ、泥棒仲間に誘われてしまう。さらに城外の沼地で女性の死体が発見され、判事はたちまち事件の渦中へ。シリーズ代表作を、最新訳で贈る(amazonより引用)

今回の出来はかなり上等の部類の入ると思う。なにせディー判事が危うく解決できない程の難事件だったのだから。

実際、読者は終盤の謎解きの最中ですら漠とした印象しか事件に持つことは出来ないはずだ。何が起き、何を誰が隠しているのか、はっきりとしたことは分からない。しかし、それ故に犯人は明白なのだが……

物語としては山賊のまねごとをする判事や、売春宿へ行く判事など、普段とは違うディー判事像が垣間見えるのが面白い。端役一人ですら生き生きと写し取られ当時の風俗を幻ながらも実感のような事が出来る。当時の匂いや生活習慣、今とは違う物を活写するのはヒューリック氏の得意分野か。

いやぁ、面白かった。