最後から二番目の真実

主にミステリの感想

ファイナル・オペラ -山田正紀

ファイナル・オペラ (ミステリ・ワールド)

ファイナル・オペラ (ミステリ・ワールド)

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日本推理作家協会賞・本格ミステリ大賞受賞作『ミステリ・オペラ』三部作完結!! 昭和二十年東京。八王子の神社の神主を務める明比家に伝わる秘能。それは、衆人環視の状況下で如何にして母親が子殺しの人買いに復讐したかを観客が推理する、世界最古の探偵小説というべきものだった。内容に呼応するように、上演中、演者が何者かに殺される。身近な悲劇と終戦目前の歴史的悲劇に人はどう立ち向かうのか。若き日の“検閲図書館”黙忌一郎が導く驚愕の真相! 著者渾身の本格伝奇ミステリ。 

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検閲図書館3部作の最後。掉尾を飾るにふさわしいテーマと内容、登場人物たちにまず脱帽。

 

明らかに3・11を念頭に置かれて書かれたこの作品は、あり得たかもしれない現実とどうしようもない現実の二つを絶妙に重ね合わせながら話が進んでいく。原爆の落ちなかった日本、原爆の落ちた日本。空襲で何もかもを失った/奇跡的に残った。二つをつなぐのは秘能「長柄橋」。

 

ミステリとしては余りに幻想的だが、SFやファンタジーとしては余りに謎を追いすぎた構成。不格好ながらも作者の念が伝わる構成に胸が苦しくなってくる。

 

検閲図書館は今回は大きく前に出てきて、謎を解き明かそうとする。しかし、検閲図書館なのだ。検閲され、秘匿される物語なのだ。知ってしまったがために戻れない、蝶は羽ばたいたのだ。

 

三部作の最後を飾るにふさわしい傑作。買って保管すべき。検閲図書館のように