最後から二番目の真実

主にミステリの感想

聴き屋の芸術学部祭 -市井豊

 

 

聴き屋の芸術学部祭 (ミステリ・フロンティア)

聴き屋の芸術学部祭 (ミステリ・フロンティア)

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学園祭中の大騒動、結末不明の脚本の謎、温泉と泥棒と死体……T大学文芸サークル第3部ザ・フールの愉快な面々が繰り広げる四つの謎解き。コミカル・ミステリの新星登場! 

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 巷では有望な新人という事で話題の市井氏のデビュー短編集。タイトル通り、気がつけば「聴き屋」として人の話を聞くことになっている柏木が主人公兼探偵役として活躍(というのか分からないが)する。

 

デビューになる「聴き屋の芸術学部祭」はなぜ、学部祭のタイミングで放火を起こしたのか、を楽しむホワイ・ダニットもの。軽快な展開と切れ味の良い推理が面白い。

 

白眉はおそらく「からくりツィスカの余命」。未完成となった脚本の落ちを巡って役者たちがドタバタしたというのは我孫子武丸の「探偵映画」を彷彿とさせる。意外性と収まりの良い落ちが心地よい読後感をもたらしてくれる。