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最後から二番目の真実

主にミステリの感想

幻の女 -ウィリアム・アイリッシュ 稲葉明雄訳

幻の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 9-1))

幻の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 9-1))

夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった……ただ一人町をさまよっていた男は、奇妙な帽子をかぶった女に出会った。彼は気晴らしにその女を誘ってレストランで食事をし、カジノ座へ行き、酒を飲んで別れた。そして帰ってみると、けんか別れをして家に残してきた妻が、彼のネクタイで絞殺されていた! 刻々と迫る死刑執行の日。唯一の証人「幻の女」はどこに? サスペンスの詩人の、不滅の名作。

 

起承転結、魅力ある謎による発端・中盤のサスペンス・意外な解決、論理のアクロバット、物語を魅力あるものにする色々なテクニック。それが全て詰め込まれた傑作。

 

読んでいて、物語の着地がどこに向かうかが読めない。ハッピーエンドかバッドエンドか。死刑執行に向けて疾走する物語の中で友人と恋人の二人が手がかりのために奔走し、あと一歩ですり抜けていく。

 

実にサスペンスで面白い。当時のニューヨークの雰囲気といい、乾いた文体といい、どれも一級品。