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最後から二番目の真実

主にミステリの感想

八月の魔法使い -石持浅海

八月の魔法使い (光文社文庫)

八月の魔法使い (光文社文庫)

洗剤メーカー・オニセンの役員会議で、報告されていない「工場事故報告書」が提示され、役員同士が熾烈な争いを始めた。同じころ経営管理部員の小林拓真は、総務部の万年係長が部長に同じ報告書を突きつけるのを目撃。たまたま役員会議に出席し騒動に巻き込まれた、恋人の美雪からのSOSも届く。拓真は限られた情報だけで“存在してはいけない文書”の謎に挑む。

 

会社員として働いていると、絶妙に普段の生活と食い違う論理がある。「担当ではないから、他の人の仕事に間違いの可能性があっても指摘しない」「何かあったら連絡する、という約束だったため、何もなかったので連絡しない」。

 

なんかもうちょい融通きかせたりすれば良いのに、厄介ごとに巻き込まれないよう立ち回る。そんなサラリーマンチックな行動をミステリに仕立て上げられるのは石持氏らしい。

 

独特な論理というのは、ファンタジー世界でなくとも、特殊な世界観を用意せずともそこに転がっている、という事なのでしょう。この「八月の魔法使い」しかり、「セリヌンティウスの船」しかり、デビュー作の「アイルランドの薔薇」しかり。

 

今回もサラリーマンの論理を盾にアクロバティックなロジックを楽しめた。