最後から二番目の真実

主にミステリの感想

ふたつめの月 -近藤史恵

ふたつめの月 (文春文庫)

ふたつめの月 (文春文庫)

契約社員からようやく本採用になった矢先、解顧をいいわたされた久里子。心から喜んでくれた両親の手前、出社するふりをしては日中ぶらぶらと暇をつぶす毎日を送っていた。ある日、偶然すれ違った元同僚の言葉に不審な点が―もしかして私、自分から辞めたことになってる?近藤史恵版『隅の老人』第二弾。

 

前作の「隅の老人」は読んでいないけど、特に困らない。意地悪な派遣切りにあったり、どこにでもある街路灯が割られたりといった身近な事象に優しい解釈を施す。近藤節というか、綺麗で丁寧な作品。

 

しかし、しかし、やっぱりセンチに過ぎる作品でもある。嫌な派遣切りにあって、その真相が「後輩に追い抜かれる不安のある先輩が、痛いところを突かれたので無理矢理辞めさせた」ってのは主人公に都合が良すぎない?無理矢理辞めたことにされたので、本気になれば裁判沙汰に出来る話だ。同時に主人公に嫉妬した先輩の犯行ってのがまた主人公に優しい。

主人公は無能ではなく、有能ゆえに不幸にあい、優しい主人公は先輩に憐憫の情を持って別れる。うーんお優しい話だこと。

 

でも他の話含め悪いかと言われると違うんだよね。全体に流れる人を思いやることとそのすれ違いが何ともセンチで良いんだよね。

 

うーん。