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最後から二番目の真実

主にミステリの感想

うさぎ幻化行 -北森鴻

 

うさぎ幻化行 (創元クライム・クラブ)

うさぎ幻化行 (創元クライム・クラブ)

 

突然この世を去ってしまった、義兄・最上圭一。優秀な音響技術者だった彼は、「うさぎ」に不思議な“音のメッセージ”を遺していた。圭一から「うさぎ」と呼ばれ、可愛がられたリツ子は、早速メッセージを聞いてみることに。環境庁が選定した、日本の音風景百選を録音したものと思われるが、どこかひっかかる。謎を抱えながら、録音されたと思しき音源を訪ね歩くうちに、「うさぎ」は音風景の奇妙な矛盾に気づく―。音風景を巡る謎を、旅情豊かに描く連作長編著者からの最後の贈りもの。 

 

 タイトルと表紙でやられる方も多い気もする、綺麗な表紙。表紙が示すように「電車の旅」もこの作品では叙情的に描かれている。そもそもの「音風景」からして雰囲気のある場所、時の音だし、そこに夜行列車などの旅行列車も合わせれば良い雰囲気になるしかない。

 

ミステリの側面からすると「うさぎ」をめぐるトリック?はバレバレだし、一つ一つの作品のミステリ的なトリックやひっくり返しは新鮮みに欠けるけども、それよりも小説としての主題に貢献している側面を褒めるべきだろうと思う。

 

2匹の「うさぎ」がホームと列車に描かれた表紙、この表紙通りに少し悲しいけども美しい小説。