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最後から二番目の真実

主にミステリの感想

夏雷 -大倉崇裕

 

夏雷

夏雷

 

新たな歴史を刻む山岳ミステリーの傑作誕生!
彼はなぜ槍ヶ岳を目指したのか?
ずぶの素人を北アルプスの峻峰に登らせる――。
奇妙な依頼を受けた男に仕組まれた危険な罠!
山を捨てた男の誇りと再生を賭けた闘いの行方は!?
『生還』『聖域』『凍雨』山岳ミステリーのトップランナー、最新作!

「原田さんは、山岳警備隊の所属なんですよね。しかし、この事件は管轄違いでは?」
「いえ、私は警備隊の中でも特別な部署におりまして、いつも山の中を駆け回っております。山の中の機動隊みたいなものです」
「それは大変だ。所属は原田さん、お一人で?」
「いえ、直属の上司が一人。釜谷という者がおります。今回は応援ということで、私、一人が参りました」
「しかし……」そろそろこちらのカードも開くべき時だった。「私は山田さんが山に行こうとしていたとは、思えない」 

山岳ミステリとハードボイルドの融合。今までの大倉氏の山岳ミステリは当たり前だが山を舞台に話が進んでいた。今回は山が絡んでくるとはいえ街が殆ど。そういった意味では山岳ミステリではないし、そもそも山が大きな主題になっているとも言いがたい。

 

しかし、 山岳要素は薄くとも主人公が山を辞めた理由や山田が山を始めようとした理由、ハードボイルドらしく静かに熱い理由が語られるのは面白い。

 

大倉ミステリっぽいと言えばその通りで謎解きや登山ではなく、ハードボイルらしい生き様を楽しむのが良いと思う。