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最後から二番目の真実

主にミステリの感想

夜歩く -J・D・カー 和爾桃子訳

 

夜歩く【新訳版】 (創元推理文庫)

夜歩く【新訳版】 (創元推理文庫)

 

 パリの予審判事アンリ・バンコランは、剣の名手と名高いサリニー公爵の依頼をうけ、彼と新妻をつけねらう人物から護るために深夜のナイトクラブを訪れる。だが、バンコランと刑事が出入口を見張るカード室で、公爵は首を切断されていた。怪奇趣味、不可能犯罪、そして密室。カーの著作を彩る魅惑の要素が全て詰まった、探偵小説黄金期の本格派を代表する巨匠の華々して出発点。

 いかに新本格ムーブメントがカー的なモノを目指していたかが良くわかる。今までカーを読んだことはなかったんだけど、読んでみて非常に既視感があった。新本格っぽいのだ。当たり前だけど新本格がカーっぽいんだけどね。

 

 序盤から首斬り死体が出て来るところから、カーのエンターテイメントぶりが伝わってくる。そこに名探偵が現れて、不可解な状況が明らかになる。掴みはバッチリ。

 

 情報収集の合間にもドラマは進展していき、最後の「名探偵 皆を集めて さてと言い」まで、実に読者を飽きさせない構造。トリックそのもは非常にシンプルでそこまで奇をてらっているわけではないが、その分伏線やトリックの隠し方に感心する。

 

 良いモノはずっと良いね。