読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

最後から二番目の真実

主にミステリの感想

名探偵の証明 -市川哲也

 

名探偵の証明

名探偵の証明

 

 かつて一世を風靡した名探偵が、現代のアイドル探偵とともに再起をかける。“老い"という人間の宿命を、2人の名探偵を通じて活写する、第23回鮎川哲也賞受賞作。

 名探偵とは何なのか、一見簡単で幼稚に見えるこの問いは、しかし。思ったよりも深いのかもしれない

 

謎を解くことは、解いて欲しくないと願う人の気持ちを傷つける。しかし、名探偵はどうしようもない性のために解いてしまう。解かれないことを願う人は犯人ではないのかもしれないのに。

 

本作は、明らかに、「名探偵の」小説であり、「探偵小説」とは言い切れない。トリックも推理も水準レベルであるし、つまらなくもない。傑作ではないとしても良作ではある。では本作の受賞作に値する特徴は何か

 

名探偵である。いずれ衰える思考力、行動力。それらをはねのけられるほど人は強くもないし、諦められるような諦念も持てない。それらの間を行き来する存在としての名探偵がいる。あとにはもっと優秀な後輩が現れ、地位を脅かす。

 

そんな人間としての名探偵は、美しい。