最後から二番目の真実

主にミステリの感想

僧正殺人事件 -ヴァン・ダイン 井上勇訳

 

僧正殺人事件 (創元推理文庫)

僧正殺人事件 (創元推理文庫)

 

 コック・ロビンを殺したのはたあれ。「わたしだわ」と、雀がいった!マザーグースの童謡につれて、その歌詞のとおりに怪奇残虐をきわめた連続殺人劇が発生する。無邪気な童謡と無気味な殺人という鬼気せまるとり合せ! 名探偵ヴァンスの頭脳は冴えて、一歩ずつ犯人を追いつめる。『グリーン家殺人事件』と比肩される本格派の巨編である。

  古典の名作中の名作、これを読まずに来てしまっていた事を後悔。マザーグースの童謡に見立てられる被害者達。「見立て」を取り入れたミステリのハシリとしては、かなり完成されており、緊張感や見立ての必然性といった、見立て殺人に期待する要素をしっかり持っている。

 

 ファイロ・ヴァンスは現代の目からするとそれほど衒学的ではなく、マザーグースに疎い読者への良い解説訳になっている辺りは、時代の流れが良い方向に転がっているといえるだろう。

 

 古典の名作。