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最後から二番目の真実

主にミステリの感想

ブラウン神父の不信 -G・K・チェスタトン 中村保男訳

 

ブラウン神父の不信 (創元推理文庫)

ブラウン神父の不信 (創元推理文庫)

 

 チェスタトンの作品中、特に優れている「犬のお告げ」を中心に、奇想天外の密室トリックで、チェスタトンならではの大胆さが現われている名作「ムーン・クレサントの奇跡」、カーの先駆ともいうべきオカルティズムの色濃い「金の十字架の呪い」、これもカーの『白い僧院の殺人』の先駆とみなされる「翼ある剣」、ほか四編の珠玉を収録した。

  The Incredulity of Fathe Brown、と言うことでブラウン神父が「疑い深く」見ているものがある。神父だからこそ奇跡なるものに慎重、というのはいい感じに逆説になっている。

 

 「犬のお告げ」で、犬が吠え、密室殺人が起きる。不思議な暗合を否定するように真実を話すブラウン神父。トリックそのものは古色蒼然としたものだが、構成の妙が楽しい。

 

「翼ある剣」は、足跡のない殺人をこれまた逆説で成立させている佳作。さすがにこの辺りになるとトリックも見抜けるようになるが、かえってチェスタトンの発想に驚いてしまう。構成から状況を作り、ブラウン神父の絡ませ方を考えたと思うのだが、最初の構成を発想する部分がすごい。

本作では足跡のない殺人を成立させるためには、足跡を雪で隠す必要がある。そのためにさらりと入れなければいけない描写が、本当にさりげない。しかし後で読むとあからさまに書かれている。

 

うーん凄い。