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最後から二番目の真実

主にミステリの感想

定本 黒部の山賊 -伊藤正一

 

定本 黒部の山賊 アルプスの怪

定本 黒部の山賊 アルプスの怪

 

 北アルプスの最奥部・黒部原流域のフロンティアとして、長く山小屋(三俣山荘、雲ノ平山荘、水晶小屋、湯俣山荘)の経営に
携わってきた伊藤正一と、遠山富士弥、遠山林平、鬼窪善一郎、倉繁勝太郎ら「山賊」と称された仲間たちによる、
北アルプス登山黎明期、驚天動地の昔話。
また、埋蔵金伝説、山のバケモノ、山岳遭難、山小屋暮らしのあれこれなど、
幅の広い「山の話題」が盛り込まれていて、読む者をして、まるで黒部の奥地にいるような気持ちにさせてくれる
山岳名著の一書です。
1964年に実業之日本社から初版が刊行されたときは、多くの読者からの好評を得ました。
近年は、山小屋でのみ購入できたこの幻の名作が、『定本 黒部の山賊』として、
山と溪谷社から刊行されることになりました。
新規原稿も一話加え、底本未掲載の貴重な写真も盛り込んでいます。
巻末には、高桑信一氏と高橋庄太郎氏による『黒部の山賊』へのオマージュも掲載。

  富山の最奥にあたり、室堂から更に一日以上かかる南に雲ノ平はある。その周囲は一般に黒部源流と呼ばれ、行き帰りに1日づつ最低2日は必要とする地域だ。その黒部源流域にいた「山賊」達の生き様は非常に格好いい。

 

一般的なかっこよさ、あるいは豪放さではなく、生きることと、その糧を得ることが直結するその姿に感銘を受ける。働いてお金を得、そして生きていくのではなく、生きるために熊を撃ち、鱒を釣り、そして生きていく。一旦お金を介してしか生活出来ていない自分と、糧を得ることと生きることがダイレクトにつながっている黒部の山賊。戦後70年、あまりの違いにあこがれることしか出来ない。

 

黒部の山賊と出会い、生きてきた伊藤氏の現代的とも言える価値観と、底なしの体力と知恵を持つ山賊、もしかしたら今もいるかもしれないカッパや化け物。今年、源流域にある赤木沢を遡行したが、確かに今でもあそこには山賊にカッパにもしかしたら財宝があるかもしれない。