読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

最後から二番目の真実

主にミステリの感想

その可能性はすでに考えた -井上真偽

 

その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)

その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)

 

 「謎はすべて解けました。これは――奇蹟です。」
この傑作を読まずして、今年のミステリは語れない!

かつて、カルト宗教団体が首を斬り落とす集団自殺を行った。
その十数年後、唯一の生き残りの少女は事件の謎を解くために、
青髪の探偵・上苙丞(うえおろじょう)と相棒のフーリンのもとを訪れる。

彼女の中に眠る、不可思議な記憶。
それは、ともに暮らした少年が首を切り落とされながらも、
少女の命を守るため、彼女を抱きかかえ運んだ、というものだった――。
首なし聖人の伝説を彷彿とさせる、その奇跡の正体とは……!?

探偵は、奇蹟がこの世に存在することを証明するため、
すべてのトリックが不成立であることを立証する!!

 奇跡が起きたことを証明するために、現実的なトリックが不可能であることを証明していく探偵、一つまた一つトリックが不可能であると証明されていく。という一風変わったストーリー。そうなると、いかに「ミステリらしいトリック」や「現実的で不可能性を証明しにくいトリック」が実現不可能かを説明していく所が読みどころになる。

 

 で、実際にそれらは達成されるわけだけども、どうしても気になるのが不必要なほど非現実的な容姿の探偵、代わる代わる現れては論破されていく裏社会の方々、といった小物?の非現実さ。トリックの非現実さを説明していく探偵が非現実的な見た目だと、正直説得力がない。変人さを出すならぼさぼさの髪だとか、格好に頓着なくよれよれだとか、逆にキッチリしすぎなスーツ姿、なんかではいけなかったのだろうか? 相棒になる中国マフィアの女性と釣り合いを持たすためなのかもしれないけど、無理にマンガ的な要素を入れ込まなくても良かった気がするなぁ。

 

一方、ミステリらしく最終的な落としどころとなるトリックや途中のツイストの効いた展開は面白い。依頼人がいくら何でもきちんと説明しすぎているところ、いい見せ方だと思います。

 

今後に期待の一冊